TPP【溝口】

トランプ米次期大統領がTPPの離脱を明言しており、発効に不可欠な米国の承認は絶望的な状況になっています。このような状況下で「米国抜き」でTPPを発効する案も出てきています。
ただしTPPは12カ国が利害をぶつけ合い妥協しあいながら、米国との交渉を基に合意した「ガラス細工」のような構造となっています。そのため米国が離脱すれば「この項目を抜いて欲しい」と蒸し返す国も出てきかねませんが、「1カ所をいじると収拾がつかなくなる」合意内容となっているそうです。
一方、日本はTPPを、米国をアジア太平洋に引き留め、台頭する中国を日米が共同して囲い込む「日米同盟の経済版」と考えており、トランプ氏に再考を促していくようです。

TPPとは「加盟国の中で、ヒト、モノ、カネの移動自由度を高めましょう」という条約だと考えています。労働力が余っている国から足りない国へとヒトが動き、安く作れる国から高くしか作れない国にモノが動き、ヒトとモノの動きに応じてカネが動くという仕組みです。
文明の進化とともにヒト、モノ、カネの移動スピードが上がっており、それに伴って生活圏、経済圏が広がっていると捉えたら理解しやすいかもしれません。地区→村→町→市→県→道州→国→アジア太平洋というように。
言い換えると、それぞれの国の問題を簡単に解決する方法がTPPです。特に日本は、高齢者増加、労働力不足が喫緊の課題となっており、高度成長期に地方から集団就職があったように、他国からの集団就職が必要な時代が来ると思われます。
TPPは日本が高度成長期の東京のように高い求心力を持っている間に成立させたい条約かと思われます。

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