経常収支【溝口】

2016年度の日本と海外の経常収支は20兆1990億円の黒字となり、過去最高だったリーマンショック前の2007年度以来9年ぶりに20兆円台を回復したそうです。拡大した理由は、原油安で輸入額が10.9%減少したことによる、貿易黒字の急拡大とのことです。(3294億円から5兆7654億円に急増)
とはいえ黒字の大部分は、海外子会社からの配当による18兆356億円の「第1次所得収支」となり、貿易黒字の3倍以上にあたります。

リーマンショック前は、貿易黒字と第1次所得収支の額は大きな差はありませんでしたが、生産拠点の海外移転により、国内でのモノづくり減少が貿易黒字を減少させ、海外子会社の設立により第1次所得収支が拡大しました。対外直接投資額は、2007年度は9兆1686億円でしたが、2016年度は19兆7046億円と2倍超になっています。

ちなみに日本の貿易赤字に関しては2011年から2015年まで続きました。これは主に原発停止による燃料費増大の影響となります。しかしながら日本は統計を取り始めた1985年から一度も経常赤字に転落したことはありません。他国に富を流出させていないのです。
2016年度の経常収支1位はドイツ、2位は中国、3位は日本となります。最下位は断トツでアメリカとなり、そのマイナス額はドイツと中国のプラス額と同額となります。なるほどトランプ大統領が貿易赤字を問題視しており、対日圧力が高まってきているわけですね。しかしこの大きな経常赤字を抱えながら、なお莫大な力を持つアメリカは本当に恐ろしい国ですね。

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