貸借対照表【溝口】

財務省が2016年度末における日本国の貸借対照表を発表しました。負債が資産を上回る「債務超過」は548.9兆円と過去最大を更新したそうです。これは少子高齢で膨張する社会保障費を税収で賄えず、国債を増発しているためとなります。債務超過は前年度に比べて28.1兆円増えており、統計を取り始めた2003年度に比べると303.7兆円増えていることになります。
また一般会計の歳入額は102.7兆円となっており、公債金収入の38.0兆円を除く64.7兆円が日本国の稼ぐ力となります。債務が収入の8.5倍にも上る状況は、返済能力が不足していると考えられ、一般的な企業では倒産しているレベルとなります。

こういった状況でも「日本国が破綻することはない」と麻生財務相が発言していますが、その理論が私には理解できません。発言の要旨としては「国民が548.9兆円以上の資産を持っており、日本国債の多くは日本国民が保有しているため、子供が親からお金を借りる親ローンみたいなものだ。親(日本国民)の資産が十分だから子供(日本国)は破綻しない」となります。
なるほど、確かに破綻(倒産)はしないかもしれませんが、国民の財産を政府が野放図に使いまくっている状況(歳出削減に努めていない)は間違いありません。そしてそのツケは確実に国民が支払うことになり、どんどん、どんどんと国民が貧しくなっていることになります。そして、その状況および改善見込みがないことを「破綻しない」と言って良いのでしょうか?

現在の失業率減少および株高は、債務を拡大することで実現している緊急避難的投資の見返りです。決して日本国の実力が向上したわけではありませんよね。

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