ロケット打上業界の巨人「仏アリアンスペース社」が、小型衛星開発を手掛ける日本の新興企業と提携すると発表がありました。現在のロケットおよび宇宙開発の状況は、ロケットや衛星の「開発」から、宇宙を「どう使うか」にシフトしているそうです。
この提携では、25基の小型衛星を打ち上げ、収集した地表データを元に、農作物の生育状況や交通量、物流を観測するそうです。また複数の小型衛星を組み合わせて運用する「コンステレーション」という手法のノウハウの蓄積も目的にしています。
過去ロケット打上は国家プロジェクトでしたが、80年代以降民間の人工衛星打上が活発になり、この分野で急成長したのが打上に有利な赤道近くに基地を持つアリアンでした。
しかし、スペースX社が打上ロケットを回収、再利用する新たな手法を開発することで、アリアン主力ロケットの3分の1の価格を実現しました。
ロケット | 事業者 | 開始時期 | コスト |
ファルコン9 | 米スペースX | 2010年 | 6200万ドル |
ヴェガ | 仏アリアンスペース | 2012年 | 3700万ドル |
イプシロン | JAXA・IHI | 2013年 | 3900万ドル |
アリアン6 | 仏アリアンスペース | 2020年 | 11700万ドル |
H3 | JAXA・三菱重工 | 2020年 | 5000万ドル |
このようにロケット打上の価格破壊が進み、衛星の用途が急拡大している状況下では、ハードの開発だけではなく、得られたデータの利用までバリューチェーン全体を構想するデザイン力が必要となるそうです。