タケ【溝口】

東北大や長野県環境保全研究所の研究グループは、温暖化でタケの生育に適した環境が広がり、里山の管理などに悪影響を与えるリスクがあるとの予想をまとめた。温暖化対策を取らずに今世紀末までに平均気温が産業革命前より4度上昇した場合、東日本ではタケが育ちやすい地域の割合が、これまでの35%から最大で83%に達するそうです。
現在の日本の竹林の総面積は15万9千haで、おもにモウソウチク、マダケで構成され、管理が行き届かない竹林の拡大が各地で問題となっています。管理放棄された竹林の周縁は年に最大3~4mの速さで広がり、日陰をつくって背の低い樹木を枯らしながら周囲の植生を飲み込んでいき、西日本では既に生物多様性への悪影響が指摘されています。

20年前、山陽新幹線の車窓から多くの竹藪が見え、また乗車するたびに拡がっているように感じましたが、同じような光景を東北新幹線で見られるようになるのかもしれません。
竹藪が広がることで、生物多様性への悪影響のほかにも、近くにある民家の中に竹が侵入する被害や、放置された竹林で地滑りの発生が多いという研究もあるそうです。

竹林拡大を抑制するためにはタケを伐採するより他に方法が無いのですが、生物多様性保全のためではメリットが小さく、進行を止めることは難しいと思われます。しかしタケをバイオ・エタノールの材料とする技術開発が進んでおり、これが採算ベースに乗ることで一気に問題を解決できるかもしれません。近い将来、放置された竹藪がトンドのためだけでなく、収入源になることを期待したいと思います。

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